社団法人日本補綴歯科学会
理事長 平井敏博
この度、赤川安正 前理事長から、社団法人 日本補綴歯科学会 理事長の重責を引き継ぎました。皆様のご協力とご支援をいただきながら、精一杯努める所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、われわれ会員一同が、改めて、本会の目的を確認したいと思います。すなわち、私たちの(社)日本補綴歯科学会の定款・第4条には、国民の健康福祉の向上に貢献するために歯科補綴学の進歩普及を図ることが明記されております。この目的を果たすために、数年来の本会学術大会では「咬合・咀嚼が創る健康長寿」とのメインテーマを掲げ、熱い討論を重ねるとともに、市民公開講座等を開催し、国民の健康・長寿・QOLに貢献する歯科補綴学と補綴歯科臨床の発展と、その周知に力を入れてきております。
ご承知の通り、近年の先進国では、人口の高齢化によって健康問題と高齢者問題が重要課題となっております。これらの問題を解決するために、わが国においても、従来からの「外来診療」と「入院診療」に加えて「訪問診療」が新たに制度化されています。また「治療医学」「予防医学」とともに「リハビリテーション医学」が見直されています。必要に迫られての変革です。しかし、歯科補綴学ならびに補綴歯科臨床では、従来から、損なわれた形態的・機能的障害の改善や回復を目指す口腔リハビリテーションに努めております。そして、その究極的な目標はQOLの維持・向上であるといえます。今こそが、歯科補綴学とその臨床の重要性を人々へアピールするための絶好のチャンスであると思います。歯科補綴学研究と補綴歯科臨床の背景には広範な生命科学があり、さらに予防科学があります。これらを基盤として、身体・精神・社会的な面からのアプローチによって、生活に関する諸要因の健康へ及ぼす影響を科学的に究明し、その成果に基づいて健康の保持増進を実現することが健康科学としての歯科補綴学の存在意義であると考えます。
これらのために、今期の執行部では種々の委員会活動を行い、学会の活性化を図ってまいります。まず、従来の「医療問題検討委員会」「社会保険委員会」および「ガイドライン委員会」を統括する「医療委員会」と、学会を挙げての研究を企画し、実行するための「研究企画推進委員会」を新たに設置しました。補綴歯科臨床の健康へ果たす役割に関する科学的根拠を収集、蓄積し、学会の意見をわが国の歯科医療制度・政策へ反映させる提言を行うためです。さらに、安心、安全な補綴歯科治療を国民へ提供するためです。なお、「医療委員会」では、各歯科大学・歯学部および各都道府県や地域の歯科医師会およびそれらの社会保険委員会等との連携を図り、真に国民の健康維持の向上に寄与する補綴歯科治療の推進に努めます。
このためにも、まず、学会が一丸となって、「補綴歯科専門医」の広告開示の認可へ向けての作業を行い、一日も早い実現を目指します。専門医による適切な補綴歯科治療の遂行が必ずや国民への大きな福音となるはずです。「いわゆる難症例」に対しての十分な知識と技術を駆使した顎口腔機能の回復は、まさしくQOLの維持・向上に直結します。なお、「運営・研修部会」と「認定部会」からなる新設の「専門医制度委員会」では認定医・専門医の質の向上へ向けた施策の一つとして、筆記試験の導入を検討することに加えて、質の高い補綴歯科治療を実践するために、歯科技工士の学会との連携のもとに「補綴歯科専門技工士(仮称))」についての検討を開始します。
健康科学を基盤とした歯科補綴学の構築と推進のために、学術大会のさらなる充実が望まれます。本学会と関連が深い国内学会とのJoint Meetingを開催し、わが国における歯科医療全体の質の向上に貢献することも必要です。これに関しましては「学術委員会」を中心に具体策を検討します。学会誌の発行を担う「編集委員会」では、とくに英文誌(Prosthodontic Research & Practice; PRP)の原稿の確保と内容の充実に努め、Pub Medへの収載を目指します。また、卒前・卒後の歯科補綴学教育に関しては、「教育問題検討委員会」が中心となり、歯学教育モデル・コア・カリキュラムの見直し、学部学生および臨床研修医の臨床技術に関する調査等を実施する予定です。なお、「用語検討委員会」では、「歯科補綴学専門用語集」の改訂(第3版)へ向けた作業を行います。
「歯科補綴/補綴歯科」の国民へのさらなる周知を行うために、「広報・社会連携委員会」を設置し、「ホームページ・ニュースレター部会(HP・NL部会)」と「社会連携部会」を設け、市民フォーラム等の企画を確実に学会内外に伝達するよう努めます。さらに、ホームページに掲載されている記事の著作権についての議論を継続します。また、「用語検討委員会」が中心となって、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の書き込み作業を継続します。
また、国際交流の推進は、いうまでもなく学会としての重要な課題です。ご承知の通り、平成19年度には、5月に神戸でAAP(Asian Academy of Prosthodontics)が、9月に福岡でICP(International College of Prosthodontics)が、10月に東京・台場でGNYAP(Greater New York Academy of Prosthodontics)が開催され、また平成20年度の第117回大会(名古屋:田中貴信大会長)は、KAP(Korean Academy of Prosthodontics)との共催となります。これらの大会は、是非とも成功させなければなりません。「国際渉外委員会」には、これらについて学会を代表して支援していただきます。さらに、昨年度に締結された中国、インドとの交流活動を検討します。具体的には、第117回大会へのCPS(Chinese Prosthodontic Society)およびIPS(Indian Prosthodontic Society)会員の参加の呼びかけを行います。
地味な仕事ではありますが、「規程検討委員会」には、新設された委員会等に関しての規程の整備と、各種委員会での規程の見直しに対応していただきます。また「財務委員会」には、健全な学会運営のための検討を行っていただきます。なお、緊急の課題に対応するために「特命事項担当理事」を委嘱しました。
今期の理事・20名の平均年齢は約53歳であり、前期に比して4歳ほど若くなっております。若い力を結集して、さらなる本学会の充実、発展のために、また公益法人としての義務と責任を果たすために、精一杯の努力をいたします。よろしくお願い申し上げます。
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