107回学術大会に多数の会員が参

 

 平成14年5月10日(金)、11日(土)に、第107回学術大会が小林義典教授(日本歯科大学歯学部歯科補綴学第1講座)を大会長として、文京区シビックホールにおいて約1,900名と多数の参加者を得て開催されました。今回は、第106回の「新しい歯科補綴のパラダイムーエビデンスとアセスメントの確立に向けてー」、に続く一連のテーマとして「新しい歯科補綴のパラダイムー咬合の新しい展開ー」をメインテーマに掲げて行われました。黒川 清教授(東海大学医学部長)による特別講演「21世紀国際化時代の日本の課題」、小野 繁教授(東京医科歯科大学大学院)による教育講演「補撤臨床に必要な心身医学的治療姿勢」と2つの興味深い講演に加え、メインシンポジウム「インプラント補綴の咬合」、システマティックレビユー「咬合とEBM」、臨床シンポジウム「新しい人工歯への挑戦」、などの多数の企画が展開され、活発なディスカッションがなされました。また、新企画として技術・技工セッション「インプラント補綴におけるオーラルデザイン」も行われました。さらに、12日(日)には日本学術会議咬合学研連との併催シンポジウム「咬合と睡眠―睡眠時無呼吸との関わり―」、第6回認定医研修会「EBMからとらえた補綴臨床」も開催されました。

 また、第106回学術大会に続き第107回学術大会においても大韓補綴学会(KAP)からChoi新会長をはじめ20人の先生方が参加され、国際セッションにおいても韓国から7題の発表がありました。  

 

会場入り口と受付の様子  

国際セッションでの発表風景

 

特別講演「21世紀国際化時代の日本の課題」

黒川 清教授(東海大学医学部長)は、日本のリーダーシップはなぜ発揮できないかについて、日本の現状から詳細に分析し、わかりやすく、お話して頂きました。1時間の講演時間はあっという間に終わりました。  

        講演中の黒川 清教授              感謝状の贈呈

    

 教育講演「補撤臨床に必要な心身医学的治療姿勢」

 これからますます複雑な症状や精神状態のひとが治療を受けることが考えられます。その場合注意すべき事項について詳しくお話を頂き、明日からの診療に非常に役立つ講演でした。

 

メインシンポジウム「インプラント補綴の咬合」

赤川安正教授の座長でシンポジウムが始まりました。保母須弥也先生(東北・北海道支部)には「臨床から見たインプラントに与える咬合」を、三浦宏之教授(東京医科歯科大学大学院)には「研究から見たインプラントに与える咬合」を、宮内修平先生(関西支部)には「咬合に関係した上部構造の問題点」をそれぞれ講演頂き、その後フロアーを交えて活発な討議が行われました。

 

システマティックレビユー「咬合とEBM」

川崎貴生教授の座長で今回初めてシステマティックレビユーが行われました。ただし、今回はシステマティックレビユーの取り組みのはじめとして、現状でのレビューで行われました。皆木省吾教授(岡山大学大学院)には「咬合と顎口腔機能に関連する研究」を、山内六男教授(朝日大学歯学部)には「咬合とインプラントに関する臨床研究」を講演して頂き、現状における咬合についての理解を深めることができました。

 

臨床シンポジウム「新しい人工歯への挑戦」

野首孝祠教授(大阪大学大学院)の座長のもと、の市川哲雄教授(徳島大学歯学部)、小出 馨教授(日本歯科大学新潟)、小林義典教授(日本歯科大学)の3名から講演がありました。市川先生の講演では、材質の面から人工歯の現状を分析され、現在人工歯に対して求められる要件としては、機能圧を減少させること、咬合関係を長く維持できること、色調安定性に優れること、床用材料との接着に優れることの4点に集約できるという内容でした。小出先生は、支持組織の支持能力に応じた咬合を適切な咬合面形態の人工歯により構成する必要性について強調され、特にリンガライズド・オクルージョンに関して実験的デ−タなども交えて講演されました。最後に、小林先生からは、日本人の食文化に最も相応しい人工歯形態を検索した結果、モノプレーンオクルージョンに排列した独自の咬合面形態を有する無咬頭人工歯が最も優れているとの講演がありました。いずれの講演も、若い研修医の先生からベテランの先生まで幅広い世代を対象としており、非常にわかりやすく、かつ専門性を有する内容であったため、明日からの臨床にすぐにでも役立つシンポジウムでした。

 

技術・技工セッション「インプラント補綴におけるオーラルデザインー技工サイドと臨床サイドのチームコミュニケーション」

 第107回学術大会から技術・技工セッションが始まりました。このセッションは、補綴物製作に関する新しい技術や技工のテクニック、あるいは臨床現場と技工現場とのスムースな連携等について検討するセッションです。

 4名の技工士の先生方により講演が行われた後、フロアーからの発言を含め熱心な討論がなされました。歯科医師のみの考えでは良質な補綴物は患者さんに提供できないことが、再確認された大変有意義なセッションでした。  

 

 研究教育研修 エビデンスを「測る」

510日(金)午後6:007:30から研修が開催されました。座長には矢谷博文教授(岡山大学)、演者に中山健夫助教授(京都大学)と福原俊一教授(京都大学)をお招きしました。第105回大会から続いているEBM&EBDに関する講演ですが、会を追うごとに会員の皆様の熱気が伝わってきます。今回、中山先生には「疫学研究のデザインーリスクの考え方を中心にー」と題してリスク比・オッズ比などを大変分かり易く解説して頂きました。さらに、福原先生には「Outcomes Measurment 入門」と題し患者立脚アウトカムの必要性を今までの豊富な経験から講演された。補綴学会の会員にとって大変有意義なセッションでした。

 

課題口演優秀賞受賞演題紹介

 第107回学術大会において課題口演を募集したところ、応募数が予定演題数をオーバーしたため、一部の申し込み演題は他の発表に回って頂き、応募された先生方には大変ご迷惑をおかけしました。そのため、今回も第106回学術大会と同じく2会場に分けて行われました。

 課題口演コンペティションにおいて、以下の先生方の演題が優秀賞を受賞されました。

 

 自立した高齢者の咀嚼機能と咬合支持、咬合力ならびに唾液分泌との関係

○池邉一典、北村和也、森居研太郎、小野高裕、野首孝祠(大阪大学大学院)  

インプラントのスレッド構造が周囲骨における応力分散に及ぼす効果

○中島 克、佐藤裕二、是竹克紀、永井伸郎、新土井宣晶、赤川安正(広島大学大学院) 

低結晶性アパタイト粉末を用いた増殖因子放出制御

 ○松本卓也、岡崎正之、豊永卓士、山田真一、濱田吉之輔、高橋純造(大阪大学大学院) 

チタン上で培養した骨芽細胞の石灰化過程における低分子量プリテオグリカンの発現変化

 ○松浦尚志、椿  賢、都築 尊、蔵本茂禎、今村英之、城戸寛史、佐藤博信(福岡歯科大学)

 

懇親会

 5月10日(木)午後6時から懇親会が東京ドームホテルにおいて行われました。懇親会には、斉藤 毅日本歯科医学会長、中原 泉日本歯科大学学長、大韓補綴学会(KAPChoi会長(Kyughee大学)、名誉会員の先生方が出席されました。

 

      川添堯彬会長

     斉藤 毅先生            中原 泉教授