日本補綴歯科学会が主導している臨床研究
日本補綴歯科学会が主導している研究プロジェクト
医科歯科連携
－認知機能と口腔機能の相関に関する探索的研究（ECCO）プロジェクト
「認知機能」と「口腔機能の低下による機能障害や歯周病などの口腔疾患」との相関に関するエビデンスを医科歯科連携により共創し，超高齢社会における人びとの健康長寿に貢献する．
医師（認知症専門医）
池田 学（大阪大学），眞鍋雄太*（神奈川歯科大学），橋本 衛（近畿大学），石川智久（荒尾こころの郷病院），笠貫浩史（聖マリアンナ医科大学）
歯科医師
佐々木 啓一*（宮城大学），馬場一美（昭和医科大学），窪木拓男（岡山大学），木本克彦*（神奈川歯科大学），上田貴之*（東京歯科大学），江草 宏（東北大学），笛木賢治*（東京科学大学），星 憲幸（神奈川歯科大学），小林琢也（岩手医科大学），安部友佳*（昭和医科大学），稲用友佳*（東京科学大学），白石 成*（東北大学），釘宮嘉浩*（国立長寿医療研究センター），齋藤 壮（東京歯科大学），水谷幸嗣（東京科学大学），濵 洋平（東京科学大学），川西範繁（神奈川歯科大学），野村太郎（神奈川歯科大学） * 研究企画推進委員会（2021-2022年度，2023-2024年度） （2025年5月現在）
超高齢社会の本邦において認知症への対策は喫緊の課題であり，国の認知症施策推進総合戦略（新オレンジプラン）において歯科医師にも積極的な関与が求められている．歯学研究において，認知機能と口腔機能の関連は関心が高いテーマで，これまでに基礎・臨床研究が多数報告されている．その一方，医科専門分野では口腔因子が認知機能の低下または認知症発症のリスク因子として共有されるに至っていない．（公社）日本補綴歯科学会は，認知機能と口腔機能との相関について新たな研究を展開するために，２０２１年より（公社）日本老年精神医学会と連携して研究プロジェクトを推進している．
研究課題1： 医科歯科双方向アンケート研究
日本老年精神医学会の認知症専門医，日本補綴歯科学会，日本老年歯科医学会，認知症と口腔機能研究会の歯科医師を対象として，「認知機能と口腔との関わりについて臨床経験と自身の考え，医科歯科連携」についてのWebアンケートを実施した．
笛木賢治, 眞鍋雄太, 上田貴之, 橋本 衛, 釘宮嘉浩, 白石 成, 石川智久, 内海久美子, 稲用友佳, 安部友佳, 長島信太朗, 井上 允, 窪木拓男, 木本克彦, 佐々木啓一, 池田 学, 馬場一美. 認知機能と口腔機能の相関に関する医師・歯科医師アンケート：ECCOプロジェクト．日本補綴歯科学会 第131回学術大会（2022年7月）
釘宮嘉浩, 眞鍋雄太, 笛木賢治, 上田貴之, 橋本 衛, 白石 成, 石川智久, 内海久美子, 稲用友佳, 安部友佳, 長島信太朗, 井上 允, 窪木拓男, 木本克彦, 佐々木啓一, 池田 学, 馬場一美．認知症および軽度認知障害患者に関する医科歯科連携の意識調査：ECCOプロジェクト．日本補綴歯科学会 第131回学術大会（2022年7月）
白石 成．認知症と口腔機能の関連に対する医師・歯科医師の双方向型認識調査．認知症と口腔機能研究会 第3回学術集会（2022年8月）
稲用 友佳．医科歯科連携に関するアンケート調査． 認知症と口腔機能研究会 第3回学術集会（2022年8月）
笛木賢治，眞鍋雄太，佐々木 啓一，橋本 衛，木本克彦，石川智久，上田貴之, 内海久美子，釘宮嘉浩，白石 成，安部友佳，稲用友佳，馬場一美，窪木拓男，池田 学 ．認知機能と口腔機能の相関に関する医師・歯科医師の意識調査：医科歯科連携ECCOプロジェクト．老年精神医学雑誌. 2024; 35 : 283-289.
笛木賢治，稲用友佳．認知機能と口腔機能の相関に関する医科歯科連携研究．口腔病学会雑誌．2024; 91: 110.
Kenji Fueki , Yuta Manabe, Keiichi Sasaki, Katsuhiko Kimoto, Mamoru Hashimoto, Takayuki Ueda, Kumiko Utsumi, Tomohisa Ishikawa, Kazuyoshi Baba, Manabu Ikeda, Takuo Kuboki
Medical-dental collaboration on an exploratory research project on the correlation between cognitive and oral function: The ECCO project. J Prosthodont Res. 2025; 69: 1-3.
研究課題2： 認知症，軽度認知障害を有する歯科患者における咀嚼質問票の検証
認知症，軽度認知障害（MCI）を有する歯科外来通院患者（52名）を対象にして，咀嚼能力を評価する3種類の咀嚼質問票の妥当性と信頼性を検証した．
笛木 賢治, 眞鍋 雄太, 星 憲幸, 富田 凛太郎, 木本 克彦, ECCO プロジェクト. 認知症と軽度認知障害患者での咀嚼能力質問票の妥当性と信頼性：ECCOプロジェクト．日本補綴歯科学会 第133回学術大会（2024年7月）
眞鍋 雄太, 笛木 賢治, 星 憲幸, 富田 凛太郎, 木本 克彦．アルツハイマー病とレビー小体病における咀嚼能力質調査にみる患者‐家族間での認識の相違．第39回日本老年精神医学会（2024年７月）
笛木 賢治，眞鍋 雄太，星 憲幸，富田 凛太郎，木本 克彦，上田貴之, 佐々木啓一, 馬場一美, 窪木拓男．認知症と軽度認知障害者における咀嚼能力質問票の検討．第25回日本歯科医学会学術大会（2025年9月）
研究課題3： 口腔機能と認知症の行動・心理症状の関連を解明する医科歯科連携研究
本研究は，アルツハイマー型認知症患者を対象として，口腔の状態と機能を評価して，BPSDとの関連を横断研究と縦断研究から明らかにすることを目的とする．本研究の成果により両者の関連が明らかになることで，認知症患者の口腔健康と機能を維持する予防的介入が可能となり，BPSDが軽減し生活の質と健康の向上に貢献することが期待される．2025年現在，研究実施に向けて準備を進めている．