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理事長からの挨拶

 社団法人日本補綴歯科学会平成21・22年度理事長を務めます東北大学大学院歯学研究科の佐々木です。本学会は、1933年(昭和8年)に創立され、私が第33代会長、理事長となります大変に長い歴史を有する学会です。

 「補綴」とは古い漢語であり、その意味するところは、詩文を作る際に古句などを綴り合わすこと、破れたところを補い綴り合わせること(出典:広辞苑)です。私どもをはじめ医学、歯学領域では「ほてつ」と読みますが、一般には「ほてい」、「ほせつ」と読まれます。歌舞伎や浄瑠璃の台本は上演のたびに、時代背景等に合わせて少しずつ脚色されますが、それも「補綴される」と表現されます。要するに破れたところ、足りないところを人為的に補い直すことを表す語です。

 そのため、医療においては、明治以降において西洋医学が導入された際に、何らかの原因で失ってしまった体の一部をいろいろな材料を用いて人工的に形態と機能を回復する治療に対して「補綴」という語が充てられ、「補綴治療」と称するようになりました。義肢、義手、義眼などを装着する治療は補綴治療であり、また装着される人工物は補綴装置と称されます。現代では人工血管や人工骨、人工関節なども補綴装置であり、これらの埋め込みも補綴治療と呼ばれることもあります。
 歯科においては、失われた歯の形態と機能を義歯、すなわち入れ歯などを装着することによって人工的に回復する治療を「補綴歯科治療」、各種の義歯を「歯科補綴装置」と呼んでいます。従いまして、本学会の目的と活動内容は、齲蝕や歯周病、あるいは口腔顎顔面領域の腫瘍摘出、外傷などにより失われた歯あるいは歯の一部、さらには歯を支えていた骨、軟組織などの形態を、金属冠(メタルクラウン)、陶材冠(セラミックスクラウン)、橋義歯(ブリッジ)、部分義歯(パーシャルデンチャー)、総義歯、インプラント義歯などの歯科補綴装置を装着することにより修復し、咀嚼や嚥下、発音などの口の機能を回復する補綴歯科治療に関する学理の探究、臨床能力の向上、技術開発とその臨床応用の発展を図り、国民の健康へ貢献することにあります。
 補綴歯科治療では、歯科補綴装置を装着することにより、口のなかの形態と機能の回復のみならず、口元を中心とした顔貌の整容を図ることも大きな目的となっており、実際の治療効果の一つでもあります。すなわち補綴歯科治療は、食物を咀嚼し嚥下するという生命の維持に直結する口の機能を回復する医療であり、食生活や発音機能、そして顔貌の回復という患者さまの生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)を改善し保障する医療でもあり、リハビリテーション医療として大きな役割を果たしています。
 本学会は、以上のように大変に幅の広い領域を担っており、そのため研究活動や教育活動、社会貢献活動は多岐にわたります。現在、本邦には29の歯学部・歯科大学があり、本学会に密接に関連する講座・分野は100を超えます。また全国の医学部・医科大学、基幹病院の中でも歯科口腔外科に所属する先生方の一部は補綴歯科を専門としております。さらに地域で活躍中の多くの先生方がおられます。これら全国で6,000名を超す会員が、熱心に補綴歯科治療の発展と向上のために活動を続けております。本学会会員の皆様に感謝申し上げますとともに、国民の皆様方にも本学会の活動に一層のご理解を賜れれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
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